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回転寿司

回転寿司

2026/2/26

回転寿司

もう20年以上前の事だ。 妻と子供二人を連れて四人で遊びに出かけた日の帰り、ちょっと早いけど夕飯食べて帰ろうという事になり回転寿司屋さんに寄ることに。 今では回転寿司も値上りして100円なんていう皿はほぼ無くなったがその当時は100円の皿だけでも十分満足できるほどの種類もあったし子供も喜ぶので好んで行っていた。

丁度帰り道に比較的大きな回転寿司屋さんがあったので行くことに。 到着すると駐車場には多くの車が停まっていて店内がにぎわっていたが入店して意外と直ぐに席に着く事が出来た。

ほどなく店員さんがやってきて「注文はこの紙に書いて下さい」と、メモ用紙とボールペンを渡された。 まだ新しいお店なのに注文方法がメモ用紙?と少し違和感を感じたが、そういえばレーンにお寿司は無くサイドメニューのポテトや唐揚げがちらほら回っている程度だ。

店内がいっぱいになる程の混みようなので混雑している場合の注文方法なのかな?くらいにしか思わず、メニュー表を見ながらメモ用紙に記入していて、ふと周りを見てみると食べている人がほぼ居ない事に気が付いた。ほとんどの人が提供されるのを待っていて、その他はメモに記入している人がチラホラといった感じだ。しかも店員さんは2人だけ。 『これはいつになるか分からないぞ・・・』 やっとそこで「これはヤバい」と気が付き、妻に小声で「こりゃだめだ出よう」と提案。 初めに注文して何故か直ぐに提供されていた"茶碗蒸し"を口にかきこみ二百数十円を清算してそそくさと店を出た。

「早目に気が付いて良かったな」。などと妻と話しながら私はもう次の"回転寿司屋さん"を決めていた。 私達の口はもう完全に握り寿し。今更他に変更する気など無かった。

次の回転寿司屋さんもそう遠くない場所にある。 やはり帰り道、国道沿いに有るお店で以前何度か利用したこともあるところだ。

10分少々車を走らせてお店に到着するとそこも駐車場はほぼほぼ満車状態。 なんとか車を停めて店内に入ると丁度一か所テーブル席が空いていて直ぐに席に着くことが出来た。 日曜日の夕方でみんなに人気の回転寿司屋、待たずに席に着けただけでも私達はラッキーだ。

しかしここでも気になることが有った。 広い店内をよく見渡しても店員は2名。ベテランらしき職人さんとまだ若そうな職人さんだけ。 入店した時に威勢よく「らっしゃーい!」と声をかけてくれたのはベテランさんだったようで次々と入る注文にやはり威勢よく返事をしている。それに比べて若手さんの方はほとんど声を発する事も無くどことなく悲壮感が漂っているという感じ。おそらく注文に対してお寿司の提供が全く間に合っていない事への諦めの表情という感じ。 先に寄ったお店より少しはマシだったがやはりこのお店でも提供待ちの人の方が圧倒的に多かった。

直ぐに席に着く事は出来たがこれは大分待つことになりそうだな・・・。 するとそこにベテラン職人さんがおしぼりと水を持ってきてくれた。 お盆には水とお絞りがそれぞれ4つ乗っていてそれをテーブルにひとつずつ置きながら大きな声で『ワン・・・ツー・・・スリー・・・フォオオオオー!!』(最後の「フォオオオオー!」は"絶叫!")

そう。 丁度その頃レイザーラモンHGがブレイクしていた頃で間違いなくそれはHGをインスパイアした『フォオオオオー!!』そのものだった。 その時の若手職人さんからは絶望が読み取れた。

ドリフターズのリーダーいかり〇長介さんなら間違いなくそこで『だめだこりゃ!』と絞めていた事だろう。

ほどなく私たちは無言で店を出た。 車中で妻に「こんなドリフのコントみたいな事ある?(^^;」と話しながら帰途につき、結局地元のスーパーで握り寿司を買い家で食べた。

食事する場所は替える事が出来たがお寿司の口を変える事は出来なかった。